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| 2003年9月28日日曜日、午後10時半。ちびは、管理人宅の寝室にて、永眠しました。
1993年、てんてん。のおうちにやってきたちび。あれから10年。さまざまな思い出を与えてくれ、私たちに、いろいろなことを教えてくれました。 1995年1月17日、阪神淡路大震災。ちびも、てんてん。宅で被災を経験しました。 管理人と出会ったのは、随分あとのことになります。1999年の9月か10月頃だったかな。管理人とてんてん。が電話でお話しているとき、電話口で少しだけ喋って(鳴いて?)くれたのが、管理人とちびの、最初の出会いです。 初のご対面は、2001年8月中旬。当時のてんてん。のおうちを訪れたとき。元気にお部屋の中を飛び回り、元気な声で喋って(鳴いて)いたことを思い出します。管理人の指や肩にも乗ってくれて、とても嬉しかったことは今でも忘れられません。 2001年11月25日。新しい家庭が生まれた日。ちびも、我が“家族”の一員になった記念すべき日でした。実際に一緒に住みはじめたのは、翌日か翌々日からだったと思いますが・・・・・それ以後、ちびのさまざまな日常を目の当たりにする日々が続き、新しい発見あり、驚くこともあり・・・・・毎日が新鮮だったことを覚えています。 ちびは、お水浴びが好きでした。飲み水用の容器に浸かっては、羽をバシャバシャ、体いっぱいに水を浴びていました。そして、ちびはきれい好きでもありました。新しいお水じゃないと、お水浴びをしたがらなかったのです。容器の前で立ち尽くしていることがあると、「あー、お水浴びしたいんだな」てんてん。と管理人はそれを察し、即座にお水を交換していました。新しいお水に変わると、ちびも即座にお水浴びをはじめます。まったくもってげんきんです。 ちびは、レタスが好きでした。キャベツじゃだめなんです。レタスじゃないと、だめなんです。鳥かごの上から吊るしておくと、勝手にぼりぼりと食べ出します。美味しく食べてもらえるように、きれいに水で洗って、ちびに渡していたことを思い出します。 ちびは、とても人懐っこいんです。てんてん。や管理人によくなついてくれました。指や肩にも快く乗ってくれました。機嫌が良い声で、チュンチュンと鳴いてくれました。そんな元気な姿に、私たちもどれだけ元気付けられ、励まされたことか。日々の生活に疲れていたときも、落ち込んでいたときも、苦しかったときも、ちびにどれだけ癒されたことか。 私事で恐縮ですが、管理人は一時、体調がすぐれず療養していた時期があったんです。2002年の夏の終わりごろから、翌年の春にかけてです。仕事もできない状況で、自分の目標をまったく失ってしまった。まったくもって、空虚な毎日だったと、今振り返ってみて思います。ひどいときには外出も出来ず、一日中家にいざるを得ない状況。そんな自分を元気づけてくれたのが、ちびでした。いつもは外出先や仕事先で食べていたはずのお昼ごはんを、自宅でちびと一緒に、ほぼ毎日、食べていたんです。「ごはん、おいしいねー。どう、おいしい?」「ウン、おいしいよ!」そんな会話を交わしていたように思います。体調がよくなると、徐々に外出できるようになりました。「ちび、行ってきまーす」「どこ行くのー?行ってらっしゃい!」「ただいま、ちび」「おかえりー。楽しかった?」そんなちびとの会話。仕事に慌しく心に余裕がなかったときには、気づかなかったことです。ちびは、ちゃんと私たちの行動を見てるんです。お出かけするとき、帰ってきたとき、ちびは必ず声をかけてくれるんです。やっぱり、家族の一員ですからね。「ところで、何で毎日おうちにいるの?」「私たちはさびしくないから、それでいいけどねっ」そんなことも言われてたんじゃないかって思います。家にいるときは、ネットやったり、昼間のテレビやラジオを視聴したり、音楽聴いたり、本を読んだり、ある意味気ままに過ごしていましたしね。今思えば、それはそれで、楽しかったのかもしれない。私に、大切なことを教えてくれたとても重要な時期だったのかも知れない。今は、そう振り返っています。 やがて、私の体調が回復し、再就職の日がやってきました。以前のような、仕事に終われる毎日です。でも、以前よりは心にゆとりを持つようになりました。おかげで、以前のように体調が崩れることもありません。すべては、ちびが教えてくれたのです。ちびが私に身につけさせてくれたのです。「最近、おうちにいない、どーして?」「お仕事で稼いで、えさをいっぱい買ってあげるからねっ」「ほんとー?うれしいな」ちびと一日中過ごせる日はなくなってしまいましたが、寂しくなんてありません。家に帰れば、必ずちびが声をかけてくれるとわかっていたから。「最近、色が黒いねー」「毎日、お外で運動会の練習してるからねー」「今日は早く帰ってきたねー」「見たいテレビがあるからね」そういいながら、ちびはえさを食べ、お水浴びをし、いつもと変わらず元気な日々を過ごしていました。
こんなちびと私たちの日常が、急に変わってしまった日が、とうとう訪れてしまったのです。 2003年9月28日。 私は午前中が仕事先に行っていました。そして、お昼12時半過ぎに帰宅。すると、元気がないてんてん。の姿が。「ちび、元気がないの・・・・・」 さっそく鳥かごをのぞいてみました。「ただいまー。どうしたの?」ちびが、返事をしてくれません。えさにも、お水にも、まったく手をつけず、止まり木に立ち尽くしていました。えさをぼりぼりさせたり、水浴びをバシャバシャやったり、元気にチュンチュン鳴いているちびの姿が、そこにはありません。それでも、わずかながら、体は動いている。私たちには、そのままちびのようすを静観することしかできませんでした。 「ちびーーー・・・・・」「・・・・・・・・」 午後3時ごろ。ちびが、えさに手をつけているようすが少しだけ見られました。「ちびが、やっとえさを食べた・・・・・」本当にえさを食べていたどうかは、わかりません。手をつけていただけかも知れません。しかし、これが、ちびが自分からえさを食べようとした最後の姿になってしまったのでした。 前日からこの日にかけて、急に寒くなったことを考えて、ちびを極力温めるようにしました。鳥かごをなるべく幕で覆うようにしたり。夜が近づくと、管理人の婿入り道具?となった電気毛布で鳥かごを覆い、下にはカイロを敷きました。私たちは、ちびのため、できるだけのことはしてみました。えさを食べることができないちびのために、好物のレタスを、近所のスーパーに急いで買いに行きました。同時に、私も自分で食べるためのサラダを買ってみました。急いで家に帰り、さっそく、ちびにレタスをちぎって与えました。でも・・・・・なかなか食べようとはしませんでした。一生懸命、ちびのくちばしにレタス近づけるてんてん。その周りについていた水滴が、少し、ほんの少しだけかもしれないけど、ちびのお口に入っていたのを確認しました。「ちびが、レタスをちょっとだけ食べた・・・・・」実際には、かじることすらできていません。でも、ちびは、可能な限り、精一杯、レタスを食べようとし、私たちの好意に応えようとしてくれていたのかも知れません。そのとき私は、ちびの目の前で、晩ご飯を食べることにしました。温めたてのご飯、そしてちびと同じ野菜サラダ(レタスを含む)を食べたのです。約1年前、こうやって私は、ちびと一緒に毎日お昼ごはんを食べていたのです。すると、ちびの視線が私のほうを向いたように思いました。そして、それまで鈍かったちびの動きが、ほんの少しだけ軽くなったようにも見えました。ちびは、あの1年前の日々のことを思い出し、少し興奮したのかも知れません。それでも、ちびが何も食べないという状況に変わりはなく、てんてん。ははちみつを水で溶かしたものを、ちびに与えました。ちびが食べようとした、というより、てんてん。がくちばしに運んだ、といった表現のほうが正しいかもしれない。 少しずつ、ちびの動きに変化がありました。くちばしを自分から開きだし、チュンとひとこと喋ったのです。それまでは床にもたれていた状態から、少しずつ自分の足で立ち始めたのです。そして、くちばしを何度もパクパク開閉して、何かを喋ろうとしたようにも見えました。しかし、まったく声にならない。ちびは、精一杯の力を振り絞って、私たちに何かを言おうとしていたのかも知れない。精一杯の力を振り絞って、体を動かそうとしていたのかも知れない。てんてん。は時折、おりから出して手のひらでちびを温めようとしていた。目の前にレタスをちらつかせたり、水の容器にちびを乗せてみたりするも、まったく反応を示さなくなってしまいました。もう、目が見えなくなっているのかも知れない。ただただ、可能な限り、ちびの出来る範囲で、体やくちばしを動かしたり、自力で足で立ったりしていたのです。あんな小さな体で、こんなに体が弱っているのに、一生懸命に生き続けようとしている・・・・・ちびの持っているすべての力を、自分の力で、最後まで出し切ろうとしている・・・・・。そして・・・・・てんてん。は、ちびの「キーーーッ!」という精一杯の声、最後の最後に発した声を、はっきりと聞いたのでした(残念ながら、管理人は聞けなかった)。そして、精一杯に羽をバタバタさせて・・・・・ おりの中で、ちびはまったく動かなくなった。てんてん。は、おりからちびの体をすくいだした。もうこれで終わりだと思っていた。てんてん。の手のひらに乗せられたちび。すると、ほんのわずか、羽をバタっと振った。それっきり、今度こそ、ほんとうに動かなくなった。 2003年9月28日、午後10時30分ごろ。ちびは、お星様となった。 てんてん。も、管理人も、涙があふれて止まらない。今までの思い出、楽しかった思い出が走馬灯のように、脳裏を駆け巡る。そして浮かぶのは、ちびへの“感謝”の念。今まで、ほんとうにありがとう。楽しい思い出をありがとう。そして、いろんなことを学ばせてくれてありがとう。こんなに小さい“ちび”から学ぶことがたくさんあるなんて・・・・・。とくに、最後の最後に、ちびが私たちに教えてくれたこと。自分の持っている力を可能な限り発揮して、精一杯に、そのとき、そのときを生きていくこと・・・・・ 私たちはこれから、ちびのぶんも、精一杯生きていく。いや、ちびはじゅうぶんに自分の命を全うしたのかもしれない。だって、もう10歳だったんだもん。人間でいうと100歳だよ、もうじゅうぶんじゃないか。最後の羽をバタって振ってたアレ、「ばいばい」っていう、ちびからのメッセージだったのかも知れないね・・・・・
あっ、さっき話した、ちびがくちばしをパクパクさせてたとき。ちびが何を言おうとしていたのか。私にはわかりました。
わたなべ。てんてん。 何で泣いてるの? 何で元気がないの? もっと、元気出してよ。 さっきまで、テレビで「笑う犬」やってたじゃない。 面白かったねー。もっと笑おうよ。 そうそう、レタス買ってきてくれたんだね。ありがとう。 最近、食べてないからさー。 わたなべと、こうやって一緒にご飯を食べるのって久しぶりだよね。 最近、そういうことがないから、ちょっと寂しいな。 でも、いいんだ。今のわたなべは、頑張ってお仕事してるんだから。 1年前は、お仕事すらできなかったんだもんね。 わたしは、毎日一緒にいれたから、楽しかったけどねっ。 あっ、ホークス、今日も優勝決まらなかったの? なかなか勝たないよねー。 優勝は間違いないと思うけどね。 はやく日本シリーズが見たいね。楽しみだな。 オリックスは相変わらずだねー。 イチローが出だした1994年から数年間は、強かったのにね。 あっ、この頃って、まだこの場所の前のアパートに住んでたよね。 地震があってから、別の町にお引越しになって・・・・・ 2年前だっけ。この町に戻ってきたのは。 きれいなマンションに生まれ変わって。 周りのおうちも、すっかり変わっちゃって。 でも、ここから眺める瀬戸内海、淡路島の景色は変わらないね。 ちびはね、好きなんだ。この景色が。この町が。 そして、窓から見える、この青空が。差し込む日光が。 この町に戻って来れて良かった。ほんとに、良かった。
ごめんね。もっとお話したいんだけど、 ちび、もうダメみたい。全然声が出ないや。 今までお世話してくれて、ほんとうにありがとう。 てんてん。わたなべ。出会えて、ほんとに良かった。 今までいくつかのおうちにお世話になったけど、 ここのおうちが、一番良かったよ。 ありがとう。 レタス、おいしかったよ。
ばいばい。
2003年9月29日 管理人 |