速報・このページ、平成12年理化学会全国大会愛知大会(8/4)の報告が<化学と教育>
<2001年・49巻3号>に、掲載されました。ぜひご覧ください。
実験実習に関する私たちの工夫展 @
理化学会全国大会愛知大会の報告・・・・・・・・兵庫県立加古川西高等学校 川村淑子
【要約】 兵庫県内の実習助手が、日々の実習の中で生み出した様々な工夫を取りまとめた器具の洗浄から収納までの道具やアイデアの紹介です。
【キーワード】 実験実習の工夫 自作器具
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1.はじめに
私たち理科に係わる実習助手は、多くの者が専門的な知識のないままに職に就き、経験と努力で知識を積み上げてきました。また現在は、各校のクラス数の減少に伴い臨時採用の助手も増え、技術的にもお互いに研鑽をし合わなければついていけない状況になっていると思われます。そこで、様々な研修とともに、作業道具や器具の使用方法など、どんな些細なことも目で見てわかるようにし、実践できるようにと工夫展を実施しました。専門の先生方やベテランの方には、当たり前と思われることも、初めて見る者やまだ実践していない者にとっては一つの目標となり得ます。この工夫展を通して、一つでも新しいことが実践できたらと考えました。
2.募集方法
理化学会会員を中心とした県内の理科担当の実習助手に、工夫展と称し募集したところ、日常業務の中で考え出された様々な工夫やアイデアが多数寄せられました。
3.応募内容
| No 工夫した用具や器具 |
| 具体的な用法や作り方 |
| 各図 参照 |
《ア》 器具の洗浄・乾燥・保管に関するもの
実験終了時には、生徒による洗浄が当然行われるが、その上で次の実験がスムーズに行えるよう落ちにくい汚れや、細部にわたる汚れを落とす用具等の工夫。また、器具を効率よく乾燥させるための工夫。
| 1.ピペット先端ブラシ | 2.試験管すみずみブラシ |
| ピペットや、ビュレットの先を洗うためのブラシ。カラーワイヤー「自遊自在」と歯間ブラシで作成。ワイヤーが自由に折れ曲がり、強度もあるのでモールなどを使用するより洗いやすい。また、歯間ブラシにも太さがいろいろある。 | もっともよく利用する径18oの試験管を洗うのに、市販の試験管洗い(通常のものだけではブラシが当たらない部分があるため)2本を針金でくっつけて利用する。 コメント・・1本の場合より毛が密になる。少しだけ大きくなるので18oの試験管にはちょうどよい。 |
| 図 1 参照 | 図 2 参照 |
| 3.スライドグラスに麺類の茹でざるの利用 | 4.時計皿の乾燥バスケット |
| 洗剤で洗ったスライドグラスをザルに並べて、湯または水でそそぐ。ザルのままピーカーのアルコールにつけた後、広げて乾燥させる。 | 時計皿や金属板などを一度に乾燥させるときに使用。ビニール皮膜のあるワイヤーをらせん状に丸め、小型の網カゴに入れて使っている。 |
| 図 3 参照 | 図 4 参照 |
| 5.スライドクラスを大量に干す場合 | 6.取り外し自在の水切り棚 |
| 洗い終わったスライドグラスをカゴの隙間に並べる。お湯を使うと水あかは残らない。 | 不要になった冷蔵庫の棚や、大型の網などを流しの隅に設置する。 |
| 図 5 参照 | 図 6 参照 |
《イ》 その他の工夫・・・・・使用済みの空き容器の再利用など。
| 7.ペットボトルの再利用 | 8.ポリ試薬ビンやフィルムケースの再利用 |
| 適当な高さに切り、薬さじやガラス棒を立てる。ただし、安全のため大小を重ねて使うと良い。 ペットボトルの底の部分を切り、切り口に4カ所の切り込みを入れピペット置きにする。 注ぎ口を付け、適当な大きさに切り漏斗の代用とする。土壌中の生物を採集するのにも使える。 |
ポリ試薬ビンのフタに穴をあけ、洗剤を入れる。フィルムケースを試験紙入れや、サンプル管として使う。フタ・本体にビニールテープを貼り記名する。 |
| 図 7 参照 | 図 8 参照 |
《ウ》
実験時の工夫・・・・・実験時には一度に多種類の薬品を使ったり、生徒にとってははじめての操作となることもある。片づけをスムーズに終わらせるための工夫もある。
| 9.数種の金属板を使う時の工夫 | 10.中和滴定、ホフマンの電気分解実験時の液漏れ防止 |
| 金属板を数種使用の時、金属の片を種類別にカットし、区別する。回収時に便利。 | ビュウレット台やH管ごと大型のバットに載せる。多少液が漏れてもバットで受けられる。 |
| 図 9 参照 | 図 なし |
| 11.廃液回収、固形物分離の工夫 |
| イオン化傾向の後など、廃液と固形物を分離するためにザルを利用厳密さを要求されない場合の固形物分離(例:合成洗剤の作成)や細かい粒子を含む廃液の回収(例:色素抽出後のシリカゲルを含む植物片)にコーヒーフィルターを利用。袋型になっており、ロートなしで少量の液を扱うのに便利。 |
| 図 なし |
《エ》 実験室整頓の工夫
実験室の整頓は家庭の台所の整頓とにており、空き缶や家庭用の日用雑貨を利用すると意外な発見もある。
| 12.空き箱を使った収納の工夫 | 13.収納品表示の工夫 |
| 購入時にシリンダーが入っていた箱を上下左右つなぎ合わせてメスシリンダーを1本ずつ入れる。 フラスコは、試薬ビンの入っていたダンボール箱にくびを立て、このまま棚に入れ収納する。 |
収納品のラベルに、簡単な図柄を書いたり、カタログの図を張り付ける。 |
| 図 12 参照 | 図 13 参照 |
| 14 | プラスチック水槽を重ねる工夫・・・・・重ねると取れにくくなるため、ゴム管を切ったものをはめて重ねる。 |
| 15 | 引き出しにじゃばらダンボールを入れ、三角フラスコを収納。 |
| 16 | フックを教卓等に取り付け、コード類を掛ける。 |
| 17 | 実験机にフックを取り付け雑巾をかける |
4.まとめ
| 高校での生徒実験は、大学等の専門機関での実験と異なり、観察・実験を通して科学的な探求方法や、問題解決能力の育成を目指すものとされる。そのため「探求活動」や「課題研究」の時間を確保したとされている。しかしながら実際には、同一実験を複数のクラスで実施するため、器具の準備や操作方法に手を加え、より良い結果が得られるように工夫している。時には親切すぎる準備となることもあるが、講義との兼ね合いや、生徒の実態に応じて必要となることもじ事実である。 今回の工夫展では、初めてであったため、『どんな物を出したらよいのかわからない。』という声が聞かれた。中には、「水道の蛇口にゴムホースをつける」というものも出てきたが、経験者にとっては当たり前で、わざわざ取り上げるものではない。しかし、経験の少ない者にとっては、実際にやってみて初めてその便利さがわかるのではないだろうか。このような日常の何気ないと思われることが、便利さへの工夫といえるだろう。小さな工夫も改めて取り上げ、お互いの意識を高めたい。今後も、理科に係わる実習助手の情報交換の場として引き続き取り組んでいこうと考えています。 |
* 参考文献・・・理科実習助手のための実験準備マニュアル(兵庫県高等学校教育研究会 理化部会理科実習助手研修会)
* 協力・・・兵庫県高等学校実習助手有志