趣味悠々 225:九州旅行


先週は、つぶやき で触れたように、2泊3日のパック旅行、「九州スペシャルー3日間」で九州を廻って来ました。
昨年の秋に、ネパール国アンナプルナのトレッキングに一緒に行った仲間達と合計9人の旅行でしたので、天候にも恵まれて、3日間の旅行の楽しさを満喫出来ました。

特に印象に残った点を挙げますと、先ず柳川での舟下り、これは中々風情があって良かったですね。
次に菊池渓谷。渓谷を散策しながら新鮮な冷気を味わえました。
高千穂峡は、学生時代以来でしたので、少々開けすぎて神秘性が減ってはいましたが、その豪快さは、相変わらず日本有数でしょう。
この渓谷と対照的なのが、阿蘇の雄大な展望です。これは土産物屋のほかは昔と余り変わっていませんでした。
阿蘇の農耕馬は、その体形、体格、スタイルが、先月北海道の日高で見たサラブレッドと全く違うことを改めて再認識した次第です。
菊池温泉の湯も中々なもので気持ちよかったですね。

今回の旅行は、最近話題を呼んでいる阪急旅行社のトラピックスという格安旅行でしたが、この安さを実現するこの会社の企画力と実行力にホトホト感心した次第です。。そして安いが故の不満は殆どありません。のべつ幕なしに喋り続けたバスガイドの説明がウンザリした程度です。
同社は、同じようなパック旅行を沢山実行していますが、この旅行を例に、計画の核心を探って見たいと思います

このパック旅行の安さを説明する為に、旅の概要を略述致します。
先ず、料金は、19,900円で、それには下記を含んでいます。
1.新大阪、または新神戸から小倉までの新幹線のぞみにて往復。
2.初日は、小倉からバスにて、関門海峡、大宰府天満宮、有田焼窯元などを経由して、長崎市内のホテルに宿泊。
3.翌日は長崎市内、柳川、(別料金オプションにて柳川水路船下りに参加)、
菊池渓谷散策、阿蘇の大観峰、菊池温泉にて宿泊。
4.3日目は、高千穂峡(別料金のオプション)散策、阿蘇千里が浜、阿蘇ファームランド、熊本城、水前寺公園。
5.水前寺公園より、バスにて小倉まで。その後小倉より新幹線にて帰着。
6九州での移動は全て観光バスによるバス旅行で、運転手の他バスガイドが付いています。

余りの安さの為でしょうか、参加者は多くこの日はバス合計5台でした。9月末まで殆ど毎日、このツアーがあるのですから凄いですね。
然し、各バス毎に添乗員が1名付いていて、宿泊先のホテルもバス毎に異なっていたので、実質は1台ごとのバス旅行と同じでした。

因みに、旅行に行く前に調べた新幹線のぞみ での小倉まで自由席の往復料金は、新大阪発着で26,480円、新神戸で25840円です。
バスの走行距離は3日間で、合計914キロです。
この交通費にホテル2泊ですが、初日の昼食と夕食は含んでいません。

如何に計算しても、この料金には辿り着けません。色々計算しても5万円くらいにはなってしまいます。この内容でこの料金の旅行を企画して実現した阪急交通社のバイタリティに、感心しました。

私の想像の域を出ませんが、この企画には、現在の日本の社会現象と時代の推移の特徴を把握して、それらを組み合わせて計画した、見事な連携プレイの賜物ではないかと、深い敬意を払う次第です。

それは、時代の推移と社会の歪による過疎現象と、高齢化社会の暇人増加の現象との見事な結合の結果であろうかと推定する次第です。

先ず、第1点は、夜遅い新幹線は通常ガラ空きで走っています。ですが、JRは、空いているからといって、列車本数を減らしたり、車両を削って3両編成にしたりする訳にはゆきません。この空き車両に載せる乗客が欲しいのです。

第2点は、自家用車全盛時代になって、近年のバス会社の経営は、何処も火の車です。九州では名門の宮崎交通も倒産してしまいました。経営を維持するには、乗客の確保しかありません。

第3点。バブルの崩壊とともに、観光地の客数は減って各地のホテル、旅館の幾つかは、閑古鳥が鳴いています。ここにも一定の客数の確保が欠かせません。

第4点。土産物屋も同様です。そして日本人が旅行した時の土産好き、買い物好きは、世界中で有名です。

第5点として、現在は高齢化社会に入ってきて、小金を持った高齢者がウヨウヨ居て暇を持て余す時代になりました。彼等は、無類の旅行好きでもありますが、いつも何時も贅沢な旅行が出来る訳でもありません。

これ等の現代社会の歪を、ものの見事に結集したのが、この旅行企画ではないでしょうか。これ等の日の当たらない時間帯や隠れた需要に眼を付け、それを総合的に結集して、このような低料金による旅行パックを実現したのです。その結果、斯くも多数の客を集めているのです。見事という他はありません。
この低料金で自社の利益を上げているのでしょうから、全く凄いものです。
そして、JR、バス会社、旅館、観光地などにも感謝されているに違いありませんし、旅行客の心も捉えているのです。

土産物屋からのリベートなど、猛烈なネゴをしているに違いない、と言う人も居ましたが、それだけでは、とてもこのような計画は実現できないでしょう。
物事の本質、核心を正確に見抜かないと、正しい理解はできません。ここでは、この会社の企画力と集客力の素晴らしさを正しく評価することが大切なのです。
初日の夕食を敢えて外すことによって、価格を2万円を切って19,900円にしたのも、心憎いまでの見事な作戦といえます。

翻って、日本の現代社会は、最大課題である少子高齢化という時代の流れの中にあります。これに対応する為に、年金制度はもとより、税制改革、学校制度の改革・統廃合、など、直ちに手をつけるべきテーマが山積しています。
これに対する官公庁の対策は、無策に等しく、仮にあっても常に後手を踏んでいるのが実情です。

これと比較すると、阪急交通社のこの企画力の凄さは一目瞭然で、舌を巻くばかりです。民間企業が官公庁に勝る格好の一例と言えるでしょう。

彼等に知恵を借りれば、廃校になった校舎、赤字を抱えてどうしようもないグリーン・ピアの設備の再利用など、活用方法は幾らでもあるのではないでしょうか。

一昨日総選挙が公示されました。民に出来ることは官から民へ、といいます。然し、官が、民では出来ないと思っていることも、民にやらせることが正解ではないでしょうか。
19,900円の2泊3日の九州旅行パックなど、出来る訳ないというのが官の考えでしょうから・・・・。


以上色々考えさせられた九州旅行でした。


(平成17年9月1日)